現役コンサルが教える、ダンスの先生がやるべきコロナ対策【家賃交渉編】
新型コロナウイルスの影響を前に、ダンサーやダンス教室がいまできることはなにか。
前回の消毒編同様、飲食店やアパレルなどの企業へのコンサルティングが豊富なジュニー岡本さんから「休止しているスタジオの家賃が大変!」という先生へのアドバイスをお送りします。
■補助金・助成金だけじゃないぞ!
休止している間のスタジオの家賃は、とにかく大変です。
何もしてないのに、月々、出て行くのですから、本当に大変。
岡本の方にも「資金繰りが大変」というご相談が、もの凄く寄せられています。
特に飲食業態のオーナーさんからです。
今日の仕入れや人件費が必要な飲食店にとって資金繰りは命取りになりかねないのです。
そこで岡本と飲食店さんと一緒に、この危機を乗り切る手段を編み出しました。
「知ってる! 補助金、助成金でしょ?」
それもある! それもあるけど、もうひとつあります。
今日は、その方法を、こっそりお教えます。
■どれくらい資金があれば安全?それは6ヶ月。
新型コロナウイルス発生以降、東京の飲食店では徐々に売上が落ちてきています。
今回の状況や東日本大震災など、予測不能な事象が起こった際にまず最優先で押さえておくべきことは、資金です。
岡本の経験則上では、インパクト(緊急事態発生)から約3ヶ月~約6ヶ月後に資金ショートしてしまうケースが非常に多い。
金額の目安としては、月額固定費の約半年分の現金を確保することが理想です。
一般的にも会社経営には6か月先行の資金繰り(キャッシュフロー)対策が必要であると言われています。
ショート回避のために各種補助金等は確実に行うべきです。
借り入れも、融資限度額が2倍になったり、融資額の100%を信用保証されたりしています。
ただ問題は、「いつ助成金が降りるの? 助成金、降りても長引けばお金なくなるじゃない?」です。
どれだけ長引くか不透明な状況でも確実なのは、“毎月、スタジオの家賃は確実に消えてゆく”という事実です。
そこで有効なのが、家賃交渉です。
■スタジオの家賃交渉で最大無料も!
え? そんな事できるの? 無理でしょと言うお話をよく聞きます。
確かに無理です。
でも駄目もとで交渉してみると、意外と協力してくれる大家さんがいます。
実際、岡本のクライアントや友人でも結構な案件、家賃が割引き、無料になっていたりします。
どうせ駄目元なのでやってみましょうよ。
ここから、上手な交渉法と手順をお教えします。
1)まずは、不動産会社/管理会社を通さずオーナーへのアポイントを取得。
不動産屋さんや管理会社を通すと、オーナーに伝えず握りつぶされることが多々あります。
できれば直接、オーナーさんに連絡しましょう。
オーナーへのアポイント調整する時には「緊急でご相談したいことがございます」とし、要件は伝えません。
通常であれば、要件を伝えた後にアポイント取得の順ですが、あえて要件を伝えないことで、オーナーがテナントについて考えを巡らせます。
「緊急で相談」となれば、賃料削減・契約更新だけでなく、最悪のパターン(撤退)まで検討する可能性が高まります。
「こんな時に新規の借り手なんて見つからない」「夜逃げされたらどうしよう」とまで考えます。
面談した結果、撤退でないとわかればオーナーに心理的な余裕が生まれ交渉の余地が生まれます。2)とにかく言葉は丁寧に。姿勢は丁重に。
交渉ストーリーとパターンを用意。
とはいえ、オーナーは、削減に応じる言われは、ありません。
今回のような、いつ収束するかわからないという不透明な状況は、オーナーにとっても高いリスクをはらんでいます。
そのためオーナーの善意に訴えかけるストーリーが必要です。概略でいえば
「新型コロナウイルスから、生徒のご老人を守りたい→大家さんに協力して欲しい→家賃値引きして欲しい」
です。さらに、具体的にどれぐらい削減するかも重要です。
最低でも3パターンは用意し、オーナーとの面談で柔軟な対応ができるよう準備しましょう。
1.単純賃料減額:現行賃料の●%、または●●円の削減
2.期間限定減額:3ヶ月限定で現行賃料の無料、もしくは●%を削減、
3.敷金・保証金一部返還:上記①・②が困難な場合にキャッシュを確保する3)スピード感をもって回答をいただく。
緊急時での賃料削減交は、オーナーとの初回面談から2週間以内に何らかの回答を受領することが理想的です。
2週間を超えると、オーナーが色々考えてしまい、賃料削減回答を受領できる可能性が低くなります。
上記3点のポイントをしっかりと守れば、オーナーとの信頼関係を壊すことなく話し合うことができると思います。
最後に削減回答受領の際は、口約束ではなく覚書などを締結することも忘れないようお気をつけてください。
短期的かつオーナー視点で見れば、賃料削減は収入が減ることになります。
しかし長期的な視点で見れば末永い契約関係を保ちたいとするオーナーの気持ちに即したアクションになります。
大切なのはオーナーとスタジオ経営者の双方が「危機を一緒に乗り越えるべき仲間」という共通認識を築けるかどうかです。
ぜひ、まずは、オーナーさんとお話をしてみてください。
<プロフィール>
ジュニー岡本
誰もが知っている大手企業から、飲食店やアパレルなどの中小企業の、ブランディングやマーケティングのコンサルティング。好きなものは、焼肉、お寿司。